風俗業界は特殊な産業であり、その営業を行うためには多くの法的要件が求められます。その中で特に重要なのが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、通称「風営法」の届け出です。では、この届け出をせずにデリヘルを開業した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
まず、風営法の届け出をしないで営業を行うこと自体が違法行為となります。風営法は、風俗営業の許可や登録を義務付けており、それに違反すると罰せられます。具体的には、風営法により6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
さらに、無許可で営業を行った場合、風営法違反の罰則だけでなく、風俗営業を行っていることが明らかになった場合、刑事訴訟だけでなく行政処分も受ける可能性があります。例えば、営業停止命令や営業者の名前の公表などがあります。これは事業の信用を大きく損なうこととなります。
さらに、無許可営業は、財産権の侵害となり、民事訴訟を起こされる可能性もあります。例えば、風俗営業が周辺住民の生活環境を侵害する場合、慰謝料等の請求をされる可能性もあります。
また、無許可で営業していることが明らかになれば、物件の賃貸契約が解除される可能性もあります。多くの不動産契約では、違法な行為を理由とする契約解除条項が含まれています。これに違反した場合、契約は即時解除され、退去を求められることになります。
無許可での営業は、雇用関係にも影響を及ぼします。無許可営業に従事した従業員が逮捕されると、従業員の雇用契約も無効になり、雇用保険や健康保険の適用を受けられなくなる可能性があります。
最後に、無許可で風俗営業を行った場合、その後、風営法に基づく営業許可を得ることが困難になります。これは、無許可営業の経歴が営業許可を得る際の信用を損なうからです。
これらのリスクを考えると、風営法の届け出を正確に行い、合法的に営業を行うことが重要であることがわかります。風俗業界には特別な規制がありますが、それは社会秩序を保つため、そして業界自体の健全化を促すためのものです。そのため、事業を始める前に、法律や規制を理解し、適切に対応することが求められます。